ロンドンから飛行機で1時間半、スコットランドのアバディーン空港に降り立った。
小さな空港だが、数年に一度、多くの観光客でにぎわうという。
それは、ここから遠くない距離に世界最古の名門ゴルフ場「セント・アンドリュース ゴルフクラブ」があるからだ。
全英オープンの際は、この田舎の空港に世界のトッププレーヤーが集うそうだ。
さて、今回訪れたのは、
アバディーンから車でさらに1時間半。北海に面したエルギンにある、玉石を産出する砿山だ。
周囲にはスコットランドらしく、美しい田園や湖沼、森林が続く。
欧州は田舎に行くほど懐かしい景色が広がり、時が止まっているかのような錯覚に陥る。
そんなのどかな風景の中、突如として現れるのが今回の砿山だ。
砿山といっても「山」ではなく森の中の平地で、そこを掘ると目当ての「玉石」がゴロゴロと出てくる。
玉石の表面はとても滑らかで、ライトグレーやベージュ、ココアのような優しい色合い。
石質は非常に硬く、様々な種類の岩石で成り立っている。この地域は地震こそ少ないが、
アイスランドの造山活動などの影響を受けて多彩な岩石が産出される。
この玉石も、地殻変動や激しい気候による”水流“に揉まれながら、気の遠くなるような年月をかけて溜まり積もったものだろう。
この砿山は採掘開始が1973年と、古い建造物に多く見られる玄武岩や硬い砂岩と比べて歴史は浅い。
しかしガーデニングの国イギリスでは、ここで玉石が産出されるとまたたく間に人気となり、
英国王室庭園協会をはじめとする多くのガーデンで使用されるようになった。
当社では「スコティッシュペブル」と名付け、20~30、30~50、80~120mmという規格別で近年輸入している。
丸みを帯びた上品な雰囲気で、和洋を問わず使える魅力的な素材として人気も高い。
現地を歩いていると、
ところどころにレンガや石づくりの古い建物が建ち並び、かつての文化を伝える街並みに感動する。
中世の佇まいが色濃く残るスコットランドに思いを馳せながら、お洒落な空間を堪能してみてはいかがだろうか。
文:秦野 利基